千葉県道180号松戸原木線

Докаты,Докатой,Для докаты 色々書いてみたものの置き場所として使っています。

有馬記念の展望 逃げ馬の場合

 近年稀に見る豪華メンバーが出揃う今年の有馬記念についての展望と予想を備忘録程度にまとめていきたい。今回は逃げ馬。

 

 中山2500なんて枠ゲーだからつまらんと嘯く競馬ファンも多いが、実力伯仲の顔ぶれが集う冬のグランプリにおいて「何切る問題*1」というのは重要であり、7-8枠の馬は自動的に考慮外に置けるのはありがたい事ではないだろうか、という反論を彼らに申し上げたい。*2

ともかく、枠が出るまで有力馬の動向をワイワイ追っかけるのが有馬記念の楽しさではないかと私は思う。

 今年の有馬は逃げの実績持ちが四頭もいる。一般的に競馬予想をする上で逃げ馬の動向、特にペースというのはかなり重要になってくるのだが、今年の逃げ馬というのはレコードペースで逃げられたり追走ができる実力馬が三頭もいて、大本命のアーモンドアイは中山の実績が無い。彼ら、彼女らに好き放題されると勝馬掲示板がめちゃくちゃになる可能性がある。難しい。

 

 

アエロリット

 前走天皇賞(秋)で戸崎騎手に導かれて驚異の逃げ粘りを見せた彼女は、クロフネやネオユニ譲りの雄大なフットワークから繰り出される高速巡航能力が持ち味である。とにかく前脚の捌き方が芸術的で、いかにブレーキをかけずにスピードに乗るかということを追求すると自然にこういうフットワークになるのだろう。

 彼女の逃げが今年のVM安田記念でのレコード連発の要因となったように、府中における彼女の逃走劇というのは印象深い。しかし意外にも、府中の対義語ともいえる中山で彼女は2着三回と優秀な成績を収めている。特に中山記念では、マルターズアポジーを追走しつつ、かの中山・沙田魔王ことウインブライトの2着に粘っていた。後肢のハムストリングが緩く、坂では止まりがちだった脚が2019シーズンになって強くなってきたのも好材料だ。とにかくテンの数字がいい馬なので、外枠でもテンのハロン一つ有れば先頭を引っ張り、主導権を握るだろう。

 ネックとなるのは2500mという距離だが、そこは中山小回りの魔法である。高速巡航能力に優れたマイラーがクロコスミアやキセキの番手に控えて着に突っ込んできてもおかしくない。展開次第では。

 

 

 

クロコスミア

 親父譲りのちっちゃいのが出てきたなあ、育成牧場の方々も大変だったろうなあ、というのが私の彼女に対する最初の印象だった。しかし、連闘に次ぐ連闘の中で彼女は確実に力をつけていき、やがて京都外回りを連対まで逃げ粘るタフガールへと成長していった。

 引退前の出走かつエリザベス女王杯の激走もあることから、大きな期待はできないが、それ以上に私個人に思い入れがある馬である。ニシノデイジーとのコンビで去年の2歳重賞を賑わせ、俺に万馬券をもたらし、今年のクラシックではルメールに芸術的なNTRをかまされた勝浦正樹騎手が新馬から長らく乗っていたのが何を隠そうこのクロコスミアであり、一昨年のVMではオークス2着の後にモズカッチャンをデムーロNTRされた和田竜二騎手を優しく受け入れ、エリザベス女王杯でモズカッチャンの2着に導いた、つまりNTRに何かと縁がある馬なのである。

 馬の話に戻ろう。重心を片脚でしっかりとらえるステゴ産駒らしい質実剛健なフットワークと前傾体質でも中山を登り切れる*3身軽さがある彼女は、いかにも中山のこの条件に合いそう。

 

 

キセキ

 ブラストワンピースとフィエールマンの盛大な逆噴射*4が印象に残る今年の凱旋門賞だが、そんな中控えた競馬でまあまあ頑張っていたのが彼である。

 

思えば、彼は健気な馬だ。

 

 菊花賞始まって以来の極悪馬場を粘り勝ち、逃げ・先行に転向してからの毎日王冠ではアエロリットに置いていかれ、天皇賞(秋)では外枠に泣き、逃げ馬としての手応えを掴んだジャパンカップで必死の逃走もアーモンドアイにブチ抜かれ、有馬記念では秋4戦目&稍重の外枠スタートという過酷な条件ながらも疲労困憊の身体を必死に動かしてレースを作り、大阪杯ではアルアインのペースメーカーに使われ、念願の最内スタートになった宝塚記念ではリスグラシューに突っつかれて一蹴され、と彼はいつだって健気に走り続けてきた。

 健気ながらも彼がなぜ勝てないかというと、逃げ馬の命であるスタートの早さとテンの瞬発力がないというのが原因で、本質的にスロースターターの中長距離馬という点で大きいところを勝ちきれない甘さがあったのだ。特に彼のスタートは逃げ馬としては致命的な三本脚スタートであることがほとんどで、強靭な後肢二本で爆発的に飛び出す上記二頭に比べると逃げ馬としては霞む。だからこそ好位追走という手があるし、ある信頼できる某馬券師は本命に押していたことからもこの筋は十分あり得るだろう。

 

 

スティッフェリオ

 諸君、私は丸山元気が好きだ。スタートが上手い丸山元気が好きだ、先行が上手い丸山元気が好きだ、上手くゲート出たのに何故か馬群の後ろを追走している丸山元気が好きだ、ノーザン二軍馬に乗って堅実に勝ってる丸山元気が好きだ、最近結婚した丸山元気が好きだ、オールカマーでヌルッと逃げ切った丸山元気が好きだ。

 ということで丸山元気くんが導くスティッフェリオも期待はしたいのだが、中山のコース適正だけではペース的に今年の有馬は勝てなさそう、多分控えて10着あたりと言いたいところ……。ん? 中山の4角でヌルッと伸びる小回り巧者のピッチ走り胴短馬、どっかで見たことあるな……アッ! マツリダゴッホ! やばい買っちゃうかもしれん……1000のペースが一分前後に落ち着いたら正直分からないですよ。ん? よう見たら母父Mtotoや! 今流行りの母父ブランドフォード系! 非根幹は走るで!

 丸山くん! 新婚の年の瀬やし出入りも多いやろ、ここらででかいの一個勝って嫁さんに美味いもん食わせたれや!

日刊ゲンダイの鬼才橘はこの辺推してきそう。

 

 

 

 

 ここまで好き放題書いておいて恐ろしいのは、逃げ馬バイアスである。逃げ馬が多く揃うレースで、騎手たちがお見合いをして結局誰も前に行かずにローペースのキレ味勝負というのが一番怖い。

 実際、去年の菊花賞ではまさにそれで僕は大失敗をしているわけで*5、スローペースになったらサートゥルナーリアがピュッと出てくるなんてこともありうる。

 さらに怖いのはアーモンドアイである。化物は往々にして限界を超えてくるもの。ジャパンカップで番手の追走能力を示し、天皇賞(秋)ではスミヨンにぶつけられても冷静に折り合った彼女ならば、初めての中山も容易にねじ伏せてしまうだろう……。バリキャリ牝馬*6しゅきぃ……。

 

 

 ところで唐突に次回予告ですが、クラシック世代にもう一頭善戦マン&母父ブランドフォード系がいたことを忘れてはいけない。ハイペース追走と折り合い上がり勝負もできる器用さを持ち合わせた鞍上川田……そう、ヴェロックスですよ。

ということで次回へ続く。枠出たら書く。最終的には枠ゲーなので。

*1:連チャン中に5〜7巡目の2-5-8mがクサい所で5m切れば向聴入るとかすごい難しい

*2:でもこんなこと言ってたらシュヴァルグランが飛んできたんですけどね……

*3:上体起きた後傾体質は坂に強いけど超人的(超馬的ともいうべきか?)なトモの強さが必要なのでほとんどがエセ前掻き馬。ただし稀にグラスワンダーとかドゥラメンテとかゴールドシップみたいな「後傾の化け物」が出てくるので注意です。

*4:参考:武豊騎手目線のヘッドカメラ映像https://youtu.be/XLOAlhqjGDA

*5:https://twitter.com/tzn1884/status/1058984885086388224?s=20 https://twitter.com/tzn1884/status/1094594604588949504?s=20 

*6:混合G1勝ち牝馬