千葉県道180号松戸原木線

Докаты,Докатой,Для докаты 色々書いてみたものの置き場所として使っています。

ここまでのG1予想成績が壊滅的という話

 春はヒシアケボノダノンヨーヨーシロチャンなる、ヤマニンゼファー少しキメラヴェリテ、シゲルスダチたるクモハタの細くマカヒキたる、と馬三郎清少納言が調教レポートに書いたように、春のG1レースは朝を過ぎ、午前中を消化した。

改元早々に猛威を振るう流行病に起因して、静まりかえったスタンドに録音のファンファーレという味気ないレースが続く。

無料のグリーンチャンネルと睨めっこしていると、ミッドナイト競輪でも見てるのではないか、という錯覚に襲われることもしばしばである。

高松宮記念あたりに山間での短期労働を終え、東京へ帰って学業に勤しみつつ、週末は中山にでも詣でようかと考えていた私も、未だ山中に留まることを余儀なくされている。

この状況下でも競馬が催されていることに感謝しながら、今は目の前の予想に全力で取り組むばかりだ。

全力で取り組んでいる筈だが、表題通り春のG1はめちゃくちゃだ。平場は勝ってンだよ、とお決まりのセリフを吐き出すのが精一杯で、メインはほぼ全敗中。収支のテーブルには思わず目を背けたくなるほどに赤字が並んでいる。

思えば、阪神大賞典の川田から全ての歯車が狂ったような気がする。こんなん川田から流して終わりやろ、と舐めてかかった僕を、ルーラーシップの遺伝子が戒めたのだろうか、父親や母父譲りの出遅れをかましたキセキは、ド派手に暴走して仁川の坂に散った。






高松宮記念


地獄の連敗街道はクリノガウディーの降着から始まった。
ダート替りで見事フェブラリーSを制したモズアスコットに、アメリカ血統の粋を集めたSpeightstown*1が娘、モズスーパーフレアの両頭に候補を絞り、後者を切った。

モズの娘は小回りの秋買いたいね、と世迷い事を吐いた俺を殴ってやりたい。

スプリント戦線で堅実な活躍を見せていたダイアトニックすら目を向けず、モズアスコットに買い目を絞った挙句、某フォロワーが一押ししていたクリノガウディーの単複を握りしめてレースに臨み、「(セイウン)皇成ー!」などと叫んでいたことは馬券師として万死に値するだろう。


結果的に早め先頭からソラを使ってしまったクリノガウディーは、G1では久々の四着降着の憂き目に合い、俺の松若きゅん*2が初めてG1を勝った。



モズアスコットはハナからスプリントのペースについていけずに馬群に沈んだ。






大阪杯


産経大阪杯、キレなくなったワグネリアンを必死に内枠へ入れて運ぼうとするいっくんの姿に、思わず涙が出てしまった。

いっくんは野路菊Sの頃の鬼脚を念頭に入れていたのだろうが、今のワグネリアンは先行持続型なのだ。平均ペースから詰めるだけの瞬発力はもうない。


敗北の原因というのは、古馬にかけての一番大事な時期にワグネリアンのそばにいてやれなかった福永祐一、おまえだ。


福永祐一ワグネリアンのすれ違いは、ロックダウン下で徐々にすれ違っていくカップルを想起させられる。一度すれ違ってしまった関係が戻ることはほとんどない。

我々はその現実を知っているからこそ、一生を添い遂げたカップルや、引退までコンビを組み続けた人馬に惹かれるのだろう。


馬券はワグネリアンから流してたので外れた。






桜花賞


「おっちゃん僕知ってるで、桜花賞ってのはムチムチの早熟ノーザンダンサーが外枠から捲り勝ったり先行して押し切ったりするって。だから北味にデインヒルとサドラー足してガチムチにしたレシステンシアで間違いないって!」


「坊主、血統だけやなくて展開も読まなアカンで、ああいう先行馬は絶好のペースメーカーにされるんや」


「でもおっちゃん、スマイルカナおるで、ノーザンダンサーの入り具合もいい塩梅や」


「大知が武に勝てるわけないやろ、騎手もよく見るんや」


「じゃあリアアメリアは買えないね」


「坊主、確かに今春の川田は絶不調や。だがな、わしのような命賭けてる馬券買いはな、有力馬が連におらんと怖なって夜も眠れなくなるんや」


「そうかな〜……」


「あとはサドラーにSir Ivorのクロスがあるサンクテュエールでも買っておけばええ、これでドン勝ちや!」


「……おっちゃん、僕何か見落としている気がするんや、例えばこのデアリングタクトなんか、SSの4×3へいい塩梅にサドラーが……あっ、締め切ってもた」




皐月賞


愚かな者は心のうちに「中山の一枠一番福永はない」と言う。彼らは腐れはて、憎むべき事をなし、善を行う者はない。
口語訳詩篇14:1




この時、既に原資は尽きかけていた。定められた予算の中で、いかに小穴を当て、遊興費を増やすか。こんなせせこましい目標設定の下に、二年間馬券を買い続けた、そのツケが春の大型連敗ロードである。二年間、苦楽を共にしてきたPATの口座に、金がない。あれだけあった筈の金は、購入履歴へ化けた。せめて紙屑に化けてくれればよかったのに 。


コントレイルを頭に据えた。


サトノフラッグを切った。


クリスタルブラックへ流すのを我慢した。


サリオス・ダーリントンホール・ブラックホールに賭けた。


そして、福永を信じた。


ゲートが開き、一番にコントレイルが好スタートを切る。
しかし、福永はズルズルとポジションを下げていき、後方インベタのビッグアーサーポジションまで行ってしまった。
残り800、上手い騎手はペースが緩んだ時に動き出す。
透過レイヤーを着た武豊が捲っていくその後ろ、コントレイルがいた。
中継カメラから姿を消したコントレイルは、四角でいつの間にかサトノフラッグの外に併せていた。
そして、大外逆襲のコントレイルと、好位抜け出しのサリオスが馬体を併せ、皐月賞は壮絶なマッチレースへと発展する。
ゴール板手前、わずかにコントレイルが抜け出す。
いっくんは運命に勝ち、俺は三連複を手に入れ…………


ガロアクリークって、何?


というわけであと一ヶ月馬が買えません。たすけて。

*1:血統表見てみろよ、Gone Westに母父Storm CatSecretariatの4×3が完成し、牝系にもう一本Bold Rulerがあって、さらにBuckpasserが隠れてるんだぞ、うっ射精る……!

*2:というか松若きゅんってマーフィーと同い年なんやね。そろそろ俺より年下のG1ジョッキーが出てきそうで怖いよ……。

「これが俺の有馬記念の答えや」と叫び、火炎瓶を投げつける

枠順が…出ました!

中山の天気予報が…出ました!

降水率80%時々雨! 

アエロリット外行っちゃった…

キセキ外行っちゃった…

アルアインも外行っちゃった…

ていうか有力な先行馬がみんな外行っちゃった…

 

という追加情報を元に戦略を立てていく。

 

大障害はシンキングダンサーから流した。

 

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前回の記事では逃げ馬を中心に扱ったが、記事で扱った逃げ馬四頭に比肩、いや、それ以上にスタートがうまい馬がいる。

そう、アーモンドアイである。

天皇賞(秋)のパトロールビデオを見ると、ぶっちゃけゲートの反応はアエロリットよりも良い。ルメールからしても乗っていてこれだけ楽しい馬はないだろう。ゲートめちゃくちゃうまくて、テンが早くて、促して乗っても折り合いがついて、操縦性は抜群で、馬群に入れても落ち着いていて、というノーザンの馴致技術の真骨頂がアーモンドアイである。

今のところ彼女には逆風しか吹いていないが、ポンと出て前付けインベタで回ってくるという基本のキが完璧にできるのだからそこまで心配いらないだろう。

ということで本命はアーモンドアイ。

穴が当たるタイミングというのは「オッズに惑わされず、勝つ蓋然性の高い馬を選んだ結果、偶然にも高配当のものであった」という場合がほとんどである。だからこそ、穴党こそアーモンドアイに本命を打つべきである。

 

 

 蓋然性の部分ではリスグラシューも挙げなければならない。初めての先行競馬を完璧に決めて勝利をおさめた宝塚記念もさることながら、終始大外を走りながらも捲り切ったコックスプレートでの強さは瞠目に値する。ハーツクライ産駒は古馬になると雨後の筍のような成長をすることで名高い*1が、この成長には体幹が強くなってトップスピードに乗った時のロスが少なくなるという副次的効果がある。ディアドラに敗れた秋華賞のパトロールビデオを見ると、騎手が促した時こそ彼女はいい反応を見せるが 3〜4完歩もするとスピードに体がついてゆけずに微妙にフットワークが乱れてしまう*2。それが、今年に入ってから体幹がしっかり固まり、安定したフットワークでスピードを落とさずにゴール板を通過できるようになった。こうなればもうハーツ産駒は無敵である。おまけに血統面でもリファールのクロスにサドラーが隠れていたりして、フットワークの安定性に関しては鬼に金棒、小回りも問題なしだ。

 

 

 しかし、有馬というのはお祭りである。お祭りでは自然と財布の紐が緩くなるというもの*3、順当な本命馬を二頭あげてはいおしまいではあまりに味気ないだろう。

有馬の枠というのは中山小回りの魔法を解いてしまう。騙し騙し乗れば2500m持つ馬でも外に入れられてしまえばおしまいだ。おまけに当日は雨。アエロリットやキセキのような馬をもってしても12秒後半まで緩む部分が出てくるだろう。

 

 

 ここで、前回の予告で挙げたヴェロックスである。どう転がるかわからない今年の有馬記念、鍵になるのは万能性だ。ハイペース追走も、早仕掛けも、前傾ラップも、ノロノロスタミナ勝負も、全て対応して着内に入る万能性というのは素晴らしいものがある。

大飛びだから中山は無理? アホ、あれはただの大飛びやない、柔らかい後肢球節と強靭な体幹で完璧にコントロールされた、四本脚全てで重心を捉えられる、いわば強者にしか許されない大飛びや。神戸新聞杯のパトロールビデオを見ろ、正面から見たヴェロックスのフォームで100万回抜いたねこれ。そして枠は6枠14番、いつか勝った三歳馬シルクジャスティスのものだ。伸二差せ! 

 

 

 一方、そもそもペースが緩むのを待っている馬たちがいる。

 まず、菊花賞馬二頭。両頭ともペースが緩んだタイミングを虎視淡々と狙っているだろうし、器用に首を使って坂を下るので仕掛けの自由度は高い。おフランス仕込みの中距離馬フィエールマンと、ドイツ競馬の結晶を母系に持つワールドプレミア、ペースが緩んだら来る。

 次はサートゥルナーリアだ。ハイペース追走や距離への不安を抱える彼だが、皐月賞の加速ラップを可能にした爆発力は計り知れない。父親似の「踏み外さない」後脚のフットワークが生み出す爆発力をシーザリオ由来の「間違えない」前脚が導いていく彼の走りはある種の芸術品だ。そうはいっても競馬というのはドレッサージュではないので、ガツガツと走る短足ステゴが全部持って行ったりする。

 

 

 そこで注目しているのが二枠の二頭である。ノリが怖い、丸山くんも新婚で何かと出入りも多いやろ、と騎手に関してはさておいて、エタリオウというトリックスターが絶好枠で構えているのが怖い。ソラ使ったり斜行する悪癖は無くなっていきたとはいえ、勝っても負けてもとにかくめちゃくちゃになりそう。

 

 

前置きが長くなったが、ここからが本編である。スティッフェリオ、来てくれんかな。

ヌルッと逃げ切ったオールカマーのペース配分が、かのマツリダゴッホ全盛期のものににそっくりだったのだ。その特徴とは、中緩んでからの3〜4角にかけての超加速である。ここでコーナーを曲がりきれない馬たちが膨らんだりスピードを落とす中、一頭だけ経済コースを取りつつ、ヌルッと加速するのだ。あのヌルッとした加速はマツリダゴッホそっくりである。あとは、血統表が抜ける。有馬の出走馬の中では多分一番抜ける。最近の社台RH馬は血統が抜ける馬ばかりなのでテクノブレイクを起こしそうなのだが、MtotoにCapeCrossは卑怯でしょ、テシオが涙を飲んだDonatelloクロスにアホヌーラ*4やて? おい!

条件が似ている宝塚記念の惨敗は何やったんや、というと、丸山くんが大外からグイグイくるリスグラシューにビビって馬群に飲まれたから。

というわけで本線の応援馬券はスティッフェリオとする。

 

 

 

常に心がけるのは、三連複・連単はあくまで抑えの馬券・ブルジョワの馬券であり、貧者の穴党に恵みをもたらすのは穴の応援馬券、保険の枠連・ワイドであること。懐に余裕があると後者二つが馬連馬単になる。これを自分に言い聞かせてから出立する。

 

結局一番嫌なのがスワーヴリチャードが三着辺りにピュッと来るやつ。

*1:夏休み明けると学校ジャージが丈短になるやつ

*2:まだ体が出来上がっていない頃のアーモンドアイは天性のバランス感覚で無理やり手前を変えてスピードを維持していた

*3:ロング缶一本500円なんて普通は絶対買わないんだけど、お祭りだとなぜか買っちゃうよね

*4:アホヌーラはなぜか平仮名で表記したくなる不思議

有馬記念の展望 逃げ馬の場合

 近年稀に見る豪華メンバーが出揃う今年の有馬記念についての展望と予想を備忘録程度にまとめていきたい。今回は逃げ馬。

 

 中山2500なんて枠ゲーだからつまらんと嘯く競馬ファンも多いが、実力伯仲の顔ぶれが集う冬のグランプリにおいて「何切る問題*1」というのは重要であり、7-8枠の馬は自動的に考慮外に置けるのはありがたい事ではないだろうか、という反論を彼らに申し上げたい。*2

ともかく、枠が出るまで有力馬の動向をワイワイ追っかけるのが有馬記念の楽しさではないかと私は思う。

 今年の有馬は逃げの実績持ちが四頭もいる。一般的に競馬予想をする上で逃げ馬の動向、特にペースというのはかなり重要になってくるのだが、今年の逃げ馬というのはレコードペースで逃げられたり追走ができる実力馬が三頭もいて、大本命のアーモンドアイは中山の実績が無い。彼ら、彼女らに好き放題されると勝馬掲示板がめちゃくちゃになる可能性がある。難しい。

 

*1:連チャン中に5〜7巡目の2-5-8mがクサい所で5m切れば向聴入るとかすごい難しい

*2:でもこんなこと言ってたらシュヴァルグランが飛んできたんですけどね……

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